【書きだめ長編物 3】 バイトの経験

バイトの話3つ目はコンサートの設営と警備の話。

ある知人がこの業界で仕事をしていたため、事あるごとに呼び出された。

朝9時集合、夜は11時ごろまでだが設営が終わるといったん休憩となる。

その間客席やロビーでの待機となるのだが、完全に開放されるわけではないので結構辛い。

2mもあるようなスピーカーを何段にも積み重ね、電動の舞台装置を運ぶ。
業界人ってちょっと怖くて、下っ端が先輩にどやされているのを見るだけで震え上がってしまう。

実はこのバイト、当たりはずれがある。
ロック系・アイドル系ははずれ。
その一方、年配の方が聴きに来るようなコンサートは舞台装置も簡素で、客の質も良い。

前者はあまりの熱狂ぶりに失神したり、3階席の一番前で立って踊りまくる奴がいる。
一歩間違えば転落事故が起きるので、スタッフからここの列だけは何があっても立たせないように注意しろという命令が飛ぶ。

「同じ金を払っているのになんでここだけいけないのよ~!バイトじゃ話にならん。責任者出しなさいよ!」と中学生から罵られる。

NKホールの吉川晃司のコンサートは死ぬかと思った。
一番最前列は、かなり危険なので警備会社の人がメインでやりバイトは補助に回るのだが、物凄く体つきが良いガードマンから「お前らなめてかかるなよ!」とまずもって脅かされる。

鉄のバリケードをステージを背にして持つのだが、1曲目が始まった瞬間凄い力で前に押し出される。
しかもこのミュージシャンいけいけどんどんの曲が多く、バラードが少ない。
バリケードの鉄パイプ部分を持った手がお客さんの体に食い込む。
「どこさわってんのよ~」
・・・と言われても仕方がない。
「気にするな」ガードマンが声をかける。

ちなみにこのコンサートこんなに苦労したにもかかわらず、撤収に凄まじい時間がかかり横浜まではなんとかたどり着いたものの終電が目の前で行ってしまった。

それでどうしたか?
飲めない酒を居酒屋で一人で飲み時間をつぶしたのだが、如何せん一人じゃあ時間がつぶせず、結局アパートのある戸塚まで歩いて帰ったら4時だった。

体力がある当時だから出来たこと。

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