
本の帯には
・国の税収40兆円の12分の1が生活保護費に
・18人に1人が受給者の大阪市で何が?
・貧困ビジネス・闇社会に奪われる巨額の生活保護費
という言葉が並ぶ。
生活保護費の支払いは1年で3兆3000億円。
国の税収約40兆円のうちの12分の1を占める。
2011年11月のデータでは、働ける世代の大量流入で受給者数は205万人を突破したとある。
家庭の収入にたとえると月給40万の家庭で、毎月3万円あまりを生活が困難な方のために支払い、国債という借金の返済を月々18万あて、新たに37万円借金をしているという状態だそうだ。
世帯別の内訳比率は以下のようになるという。
・高齢者世帯:63%
・母子家庭:8%
・障害者世帯:11%
・疾病者世帯:22%
・その他:17%
本書では生活保護と最低賃金との関係、そして制度そのもののシステムが自立への意欲を失わせるとしている。
最も受給者率が高い大阪市の最低賃金は762円(2009)、これを1日8時間週5日の計算で算出すると月収は121,920円。
生活保護受給額は123,610円。
しかも病気にかかった時の医療費は無料になる。
こうした逆転現象が起きている県は全国で9県あるという。
わたしがこの本の中で気になったのは、受給から半年以上すると面接時のダメージに打ちのめされて、再就職の意欲もなくなり、さらには家から出なくなる、生活が荒んでいく、社会に順応できなくなるそうだ。
働けるのに働かない世代(いや働けない世代?)が増えているという。
ここ数年、派遣労働、ニートなどといった安定性を求めない若者が増え、リーマンショックで彼らの心地よいポジションは失われてしまった。
その結果行き着いた先が、生活保護対象者の増加となった。
最近特にクローズアップされる生活保護の不正受給。
本当の貧困層で受給しているのは1/3のみであり、偽の権利者のために受給できないとはひどく迷惑な話である。
現在、政令市の中では浜松市の不正受給は355件、2億円にのぼる。
どの自治体でも再就職先の斡旋などを行っているが、日本人特有の「恥」の文化は何処にいってしまったのだろうか?時とともに勤労意欲は消え、ネガティブになってしまうとそこから脱却するのに大変なことである。
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